まちをめぐる 水のひみつ
農家さんの田んぼや畑に、水を運ぶための道のこと。
地域によっては、野菜や果物の畑に使われることもありますが、善光寺平用水の水路は、米農家さんの田んぼに水を流すためのものです。

裾花川
長野市街地の西側を流れる川です。上流で電力発電に使われたあとの水を、里島取水口という場所で取って、水路に流しています。
裾花川の水を取って
田んぼに送っているよ

犀川
長野市街地の南側を流れる川です。裾花川より大きな川で、犀川頭首工という場所で水を取っています。犀川の水は、善光寺平だけでなく、川中島平の田んぼにも届けられています。
裾花川よりも
もっとたくさんの水を
取っているよ
水を管理している 人たち
長野県善光寺平土地改良区は、
善光寺平地域の農家さんが集まって
できた団体です。
私たちは、農家さんたちが農作物をたくさん収穫できるように、田んぼまで水を運ぶための水路をととのえたり、必要な水の量を管理したりしています。
土地改良区は、
全国に約4,000団体もあります
緑色の部分が
すべて善光寺平の地域!
犀川の北側の地域を「善光寺平」と呼びます。地図の赤い線と青い線が、田んぼに水を届けるための水路です。
ここにえがかれているのは大きな水路だけですが、実際にはこの大きな水路から、細い水路が木の枝のように広がって、たくさんの田んぼに水を届けています。
なぜ、こんな施設が
つくられたの?
取水口から入った水は、水路を通って田んぼに運ばれます。でも、一本の水路だけでは、善光寺平の全部の田んぼに水は届きません。
だから「分水工」という場所で水を分けて、それぞれの地域に必要な量の水を届けています。写真は、上流から来た水を分けているところです。
干ばつと水争い
大正13年の水不足!
雨が降らなくて
水が足りない!
今から約100年前の大正13年(1924年)のことです。雨がほとんど降らない日が続き(干ばつ)、ひどい水不足になりました。田んぼに使う水が足りなくなり、2つの農家グループの間で大きな争いが起きてしまいました。この争いはとても激しく、警察につかまる人やけが人がたくさん出る大騒動になりました。
新聞にも取り上げられるほど、
大きなできごとでした
当時は、「鐘鋳堰組合」と「八幡山王堰組合」という2つのグループが、時間を分けて水を使うルールを作っていました。
裾花川の上流で、鐘鋳堰が「梁」という水をせき止めるしかけを作って水を取ります。時間が来たら梁を壊して、今度は下流の八幡山王堰が水を取る仕組みでした。もともと水の量は十分ではなく、同時に取ることはできなかったのですが、そこに干ばつが起きて、さらに水が足りなくなりました。どちらの農家も生活がかかっていますから、水の奪い合いになり、ついには裁判にまで発展してしまったのです。
大正13年8月
大変だった様子が残っています
水不足を
なんとかしたい!
この状況を変えようと、当時の長野市長が中心となって動き出しました。
裾花川の水を公平に分けるために「
裾花頭首工
」を作り、さらに犀川からも水を取れるように「
犀川頭首工
」を作りました。関係する水路や分水工も整備して、水不足を解消しようとしたのです。そして昭和5年12月1日、今の善光寺平土地改良区のもとになる「長野県善光寺平耕地整理組合」という組織が作られ、水の管理を始めました。
その後、土地改良法という法律ができて、昭和26年6月27日に新しく…となり、私たちは今も水を守り続けているのです。
丸山辨三郎
当時の長野市長
用水路の大切さ
大口分水工には、「亀石」という特別な岩があります。この石は「絶対に動かしてはいけない」と決められています。なぜでしょうか。この石を境目にして、左側が八幡川、右側が山王堰という2つの地域に水が分かれます。昔、水争いがあった後、この石を目印にして「ここから左右に公平に水を分けよう」と約束したのです。こうして争いを防ぐルールを作りながら、地域の農業は発展してきました。亀石は、みんなで仲良く水を使おうという約束のあかしなのです。
今でも同じ場所に
残っています
- 生活用水
- 野菜や農機具を洗うのに使います。
- 防火用水
- 火事が起きたとき、火を消すのに使います。
- 消雪用水
- 降雪の多い地域では、たくさん積もった雪を溶かすのに使います。
- 環境用水
- 水路に住む生き物を守るために使います。
- 地下水涵養
- 用水が地面に染み込むことで、地面が沈んでしまうのを防ぎます。
- 雨水を流す
- 雨水だけを用水路に流し、大雨で水路があふれないようにしています。
- 飲み水を守る
- 犀川浄水場へ水を届け、地域のみんなが飲む水を守っています。
農業のためだけではなく
私たちの生活の身近なところで
こんなに活躍しているよ

きれいな水路をまもろうね
この写真は、長野市の県立図書館横を流れている、計渇川という用水路で撮った写真です。
光って見えるのは、ホタルです。
ホタルは、流れがおだやかで、きれいな水辺にしか住むことができません。ホタルがいるということは、その川や用水路がきれいだということなのです。
用水路は、田んぼに水を運ぶだけでなく、生きものたちの大切なすみかにもなっています。
これからもそんな自然を守っていけるように。
みんなで用水路を大切にしていきましょう。
