水の分かれ道。分水の仕組みを見てみよう!

田んぼに使う水は川から取水して農業用水路を通って田んぼまで届きます。
田んぼへ水を届ける水路は人の血管のように無数に枝分かれしていて、各地域にある田んぼへ水を運んでいます。

大体こんな感じのイメージです。

分水のイメージ

河川から頭首工で取水した水は水路で枝分かれし、田んぼへ届けられます。
地域全体の水田へまんべんなく水を届けるためには、必要な量の水をきちんと分けなくてはいけません。

そのために必要な施設が「分水工」になります。

米を作るために必要な水の量は1000㎡あたり400トン~1500トンと言われています。

川から水を取っているわけですが、この水を取れる量というのは国からの「水利権」という許可によって決まっています。水利権は水を必要としている地域の田んぼの面積によって決まっています。そのために、必要以上に水を取る地域があると他の地域の水は足りなくなってしまうわけです。

そういったことが無いように分水工で水を必要な量に分ける必要があるということです。

分水工にもいくつか種類があります。

私たち善光寺平土地改良区にある分水工を見てみましょう。

背割分水工

昔ながらの方法を使った分水工が背割分水工です。
分水工の中でも、もっとも単純な仕組みになっています。 私たちの施設で言えば大口分水工が背割分水工になります。

背割り分水は構造としては一番単純な構造をしており、必要な水の量が流れるように壁で水路を区切って作られた分水工です。
区切るだけなので作るのにも費用が安く済むという特徴があります。

一見すると平等に分かれているように見えますが、流れてくる水の量や、下流で使う量が増えるなど、様々なことによって量が水路ごとの量が変わってしまうこともある構造です。

一番身近に見ることができる分水工のため、町中を散策してみると意外とすぐに見つかるかもしれません。

ゲート式分水工

こちらは今現在広く一般的に使われている機械(または手動による)ゲートの開け閉めにより水量を調節するタイプの分水工になります。背割り分水工のように、水流だけで分けるのではなく、ゲートによって各水路の水量を調節することが可能ため適切な水量管理がよりしやすくなっています。

ただし、機械を動かすため、故障の可能性があり、定期的なメンテナンスが必要になります。また、導入にもお金がかかります。導入・維持、共にお金が必要な施設ですが、きちんとした水量を守る、また水を管理するという面で優れた施設になっています。

射流分水工

善光寺平土地改良区単独の施設ではなく、善光寺平土地改良区が連合に参加している善光寺川中島平土地改良区連合の施設にはなります。

こちらの施設は、上流からの水を一旦分水門手前にあるプールに貯めて、その後一定の斜面を作って水を流す事によって、背割り分水工の欠点であった上流からの水の量によって分水の比率が変わってしまうという点を克服した施設になります。

昭和中期以降に登場した施設であり、比較的水の分水には欠点の少ない施設になります。

しかしながら、一度上流からの水を貯めるという構造から、水利施設の面積が大きくなってしまう。また、プールに留めることで上流からの勢いのある流れを一旦リセットするので、水の勢いを弱めてしまうという欠点があります。

善光寺川中島平土地改良区連合の射流分水工も現在は、形はそのままではありますが、下流の水田の面積が減っていっていることから、分水工建設当時よりも必要水量が減っているために、新たにゲートを設けて水量を調節しています。

その他にも…

円筒分水工

岩手県奥州市の徳水園・円筒分水アクアパークにある日本最大級の円筒分水工

分水工と言ったらこれ!という方もいる有名な分水施設になります。

中央の筒状の貯水部分から水を下から上に拭き上げて、外側の縁に必要な分水の比率合わせた仕切りをつけることによって正確に分水する仕組みです。

構造は複雑で造成にも費用はかかるものの、誰が見ても公平に分水できる仕組みになっています。

このように、農業用水をきちんと分けることにより、平等に必要な水を使えるようにするために、分水施設はあるのです。

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