鴨の話🦆

突然ですが、皆様。
鴨という鳥をご存知でしょうか?

あまり知らないという人はいないとは思いますが、日常で、またはテレビの中で度々話題になる水鳥です。

分類学上はカモ目カモ科に属する水鳥で海に住む種類も含めると日本にはなんと30種類もいるそうです!

長野市にも他の例に漏れず鴨は生息していますが、私たち善光寺平の用水路にも度々出没し、その可愛らしい仕草で(主に筆者を)魅了してくれる存在です。

二堰分水口を泳ぐカルガモ
陸上で休むカモ

善光寺平用水に来る鴨

善光寺平用水に飛来する鴨はカルガモと呼ばれる鴨になります。よくテレビで鴨の親子が道路を渡る映像がでるあのカルガモです。
冬の時期から春先にかけて数羽のカルガモが連れ立って二堰分水工を泳いでいます。
水鳥であるカルガモは水路の中で昆虫や水草を食べているようです。
この時に水の中に頭を「逆立ち採餌」という方法で餌を取ります。この時のおしりがとても可愛いです。

逆立ち採餌をするカルガモ


鳥類はその生態により2つの種類に分けることができます。

渡り鳥

越冬や繁殖のためなど様々な理由により同じ場所に留まらずに様々地域へ飛びたち、また戻って来る鳥を言います。
同じ鴨でもマガモやヒドリガモは越冬のために渡りを行う渡り鳥になります。

マガモ
ヒドリガモ

留鳥

渡り鳥と違い同じ場所に留まる鳥を留鳥(りゅうちょう、とどめどり)と言います。
カルガモはこの留鳥に該当します。
ただし、時期による場所の移動を行うこともあるそうで、善光寺平用水に飛来するカルガモも夏の時期に見かけたことはありません。暑い時期は他の場所で暮らしているのでしょうか?

カルガモはなにを食べるのか?

可愛らしいカルガモですが、その食性は主には植物性で植物の葉や種を食べるそうです。また水生昆虫やタニシなどを食べることも知られています。

つまり稲穂も食べてしまうのです……

田んぼを整える代かきの後、田んぼに稲を植えるのですが、その時期にカルガモが飛来すると、その着水の衝撃や、泳ぎによって稲苗が倒れたり抜けてしまう、幼苗を食べられるという被害も報告されています。また、秋になり、稲が実りの時期になると今度は実った稲穂を食べるという実に農家泣かせな鳥なのです。

しかし、田植え後に稲がしっかりと根づいて育った後は、稲ではなく田んぼに生えてくる雑草や、虫を食べることもあり、農家に被害を出すだけではない一面もある鳥です。
そんな鴨を利用した農法があります。

鴨を使った農法、その名も合鴨農法

鴨の中には合鴨(アイガモ)と呼ばれる鴨がいます。
この鴨は”合”の漢字がつく通り、アヒルとマガモから生まれる鴨です。

毛繕いをするアヒル
田んぼを泳ぐアイガモ

アヒルもマガモを飼い慣らして家畜化した事で生まれた種ですから、厳密に言えばアイガモもアヒルも全てマガモに分類されます。

大柄で飛ぶことができないアヒルと、小柄で飛ぶことができるマガモから生まれたアイガモは、小柄で飛ぶことができない鴨として生まれます。

合鴨農法はこの合鴨の雛鳥を田んぼに放飼することで雑草や虫を食べさせ、泳ぎにより水を掻くことによって水と土をかき混ぜることで土の中に酸素を与えたり、水を濁らせて雑草が生えるのを抑えたりします。

また、合鴨のフンがそのまま肥料にもなる事で稲の育成を良くする効果もあります。

稲が実りの時期を迎えると実った稲を成鳥となった合鴨が食べてしまうために、放し飼いは終わりになります。
そして、稲が育った後の合鴨は、食肉として市場に流通します。
しかしながら合鴨農法の合鴨は一般的に当初から食肉を目的として生育した合鴨よりも肉付きが悪く、市場価値が下がる傾向にあることや、育成にコストが係ることが問題としてあげられます。

合鴨は人間が人間の手で生み出した生物です。
合鴨を自然に返すということは生態系への影響を考えて禁止されています。

鴨と日本人

鴨は古くから日本全土に広く生息している鳥で、古墳時代の貝塚からもその骨が見つかっており、今でも鴨肉は鍋物などで利用され日本の食文化と密接に関わりのある動物です。

鴨鍋
鴨南蛮

また、騙しやすい人のことを「カモ」と呼ぶことがあります。
これは、鴨が捕まえやすく、食用として美味しい鳥だったことが由来と言われています。

主に食用として日本人に関わりのある鴨ですが、江戸時代に行われていた鴨を捕まえる手法は今も残っています。

この手法を利用した伝統行事として外国大使などに体験してもらう国際親善行為、賓客接遇のひとつとして宮内庁が行う「鴨場接待」があります。
元溜(もとだまり)と呼ばれる池に集まった鴨をアヒルを使い堀に誘導して手持ちの網で捕獲することで鴨を傷つける事なく捕まえる技法です。

古くは狩猟のために行われていた伝統的な技法ですが、宮内庁行事として行う鴨場接待では捕らえた鴨は、国際鳥類標識調査に協力して種類、性別などを記録し、標識(足環)をつけ、すべて放鳥しています。

このように鴨は日本の食文化、伝統行事等に登場し古くから親しまれている鳥なのです。

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